やどりき水源林ニュース 第10号

2004年3月


春を待つ水源林

 2004年3月7日、早春のやどりき水源林を歩いてみました。
平地ではウメやモモの花が咲き春の訪れを感じるこの時期ですが、海抜400〜500mのここ水源林は吹く風もさすがに冷たく、植物たちは来るべき本格的な春に向け着々と準備をしていました。
春間近の水源林の様子をお届けします。

巨木林を背景に
ミツマタ

〔ジンチョウゲ科〕

 やどりき水源林はスギ・ヒノキの人工林が主体ですが、他にミツマタの群生が見られます。開花前の白いツボミの群生はなかなか見事です。一部は黄色く開花を始めていました。
 ミツマタはコウゾと並び和紙の原料として知られています。繊維が細くて紙肌が緻密なため、紙幣や証券用紙の原料として利用されています。



キブシ〔キブシ科〕
 早春の山野を飾るキブシもまだツボミの状態で、稲穂のように垂れ下がっていた。

フサザクラ〔フサザクラ科〕
 その名の通り房状に垂れ下がって花が咲く。この時期はまだ硬く閉じているが開花も間近い。

ミヤマシキミ〔ミカン科〕
 早春に白いツボミを多数つけ、4〜5月に花が咲く。秋には赤い実をつけ一年中楽しませてくれる。

オニシバリ〔ジンチョウゲ科〕
 しっかり開花していたのがこのオニシバリ。夏になると葉が落ちることから別名ナツボウズ。

スミレの一種〔スミレ科〕
 春の使者スミレもまだ花を付けていない。あと数週間すれば種々のスミレの花を見ることが出来る。

ジュウガツザクラ〔バラ科〕
 この時期花の数はチラホラといったところ、4月の再度の満開に向け多くの花芽をつけている。


水源林を学ぶ

 2月中旬の日曜日、東京から小学4年生の親子18名の訪問があり、久しぶりに賑やかな一日となりました。学校の社会で水源林の授業があり、実際の水源林を見て知識を広げたいとのことで、インターネットで当地の案内人制度を調べて来られたそうです。
水源林の役割(雨水をたくわえ少しずつ流し、洪水を防ぎ川の渇水を防ぐこと)など説明しましたが、皆熱心にメモを取り、質問をしておりました。

 水源林の土壌の説明を熱心に聞く。
落ち葉の下には腐葉土があり、水をたっぷり蓄えてくれます。