やどりき水源林ニュース 第19号

2004年12月

  やどりき水源林には、巨木林ゾーンがあります。これは、100年後の未来に向けて大きな木に育てていこうというエリアです。巨木林とはいったいどんな森だろうか。100年後のやどりきの森を想像してみよう。神奈川県には、巨木林のとても良い見本があります。それは、南足柄市にある大雄山・道了尊最乗寺です。ここには、400年にわたって守られてきたスギの巨木林があります。

写真は、大雄山・最乗寺にある巨木林の風景。この森は400年の歴史を持っています。400年の歴史は様々な試練をこれらの木々たちに与えてきました。幾たびもの嵐、雪害、雷などに打ち勝ち、生き延びてきました。やどりき水源林の巨木林もこれから幾つもの試練を越えて大きく成長していくのでしょう。


 直径1mほどのスギの巨木が12月5日の季節はずれの台風で倒れました。樹齢400年余りでしょうか。大雄山・仁王門近くのスギの巨木でした。こうした試練をくぐり抜け、巨木林は生きてきました。



やどりき水源林の最上流、鍋割峠付近の森林の様子。10月23日撮影。まるで真冬のように下草がありません。これは、シカが皆食べてしまうためです。土砂流失の原因ともなります。

稜線近くでえさを求めて歩くシカ。10月23日撮影。植生保護柵のある背後には、ササが良く茂っています。森林を守るには、林床も豊かにしなければなりません。


やどりきの巨木林ゾーン。鬱蒼とした森林がいかにも巨木の印象を与えてくれる。

かながわ美林50選に指定されているやどりきにあるヒノキ林の林冠。ここも巨木林ゾーンだ。


巨木林を測定する。7月24日撮影。大雄山のような巨木林に達するには、あと200年は必要。気の遠くなる話です。

次の世紀に向けて森林を作るという行為は、世代を超えて守り続ける強い意志が必要です。100年先、この森林は、どんな森林になっているでしょうか。