「深掘りノート」

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6.水生生物の話<深掘り>

 

カゲロウ、カワゲラ、トビケラ(水生昆虫御三家)の詳細

 

 

 

①カゲロウ

 棲息する場所にあった色々な体形をしています。

1.流れが遅く砂が溜まったところに生息する種は、砂に潜れるような尖った頭をしている。

 餌は、砂の中にあるデトリタスや藻類を食べる。 中流域の流れの遅い砂底に潜って生活している。

 

モンカゲロウ

モンカゲロウ

2.流れのあるところに生息する種は、泳ぐことに適した流線型の体をしている。

 体が流線型で、ぴょんぴょんと飛び跳ねるように移動する。 このため ピンチョロ虫などと呼ばれることがある。 デトリタスや石の表面についた藻類を食べる。 上流から下流域まで広く分布し、流れのある瀬に生息している。

チラカゲロウ

チラカゲロウ

3.石表面に張り付く種は、水流に耐えられるように平たい体をしていて、石表面をはいまわる。

 平たい体で、石の表面をすべるように動く。 石の表面に生える藻類を食べている。(グレイザー)

上流から中流域の流れの緩やかな場所に生息している。

エルモンヒラタカゲロウ

エルモンヒラタカゲロウ

 ※デトリタス(生物体の破片・死骸・排出物・分解産物など)

 ※グレイザー:石面に付着したものをこそげとって食べる水生生物

 

②カワゲラ

小型のカワゲラ:主に草食性

大型のカワゲラ:主に肉食性(プレデター)

クロカワゲラ

クロカワゲラ

落ち葉を食べる(シュレッダー)

生息環境:瀬・淵・河岸など淀みに多い

 

ノギワカワゲラ

ノギワカワゲラ

付着藻類を食べる(グレイザー)

流れが滝のように急流になっている場所に多い

カミムラカワゲラ

カミムラカワゲラ

 

オオクラカワゲラ

オオクラカワゲラ

 

モンカワゲラ

モンカワゲラ

 

③トビケラ

 絹糸を分泌し、巣造り行動をします。

造網型のグループ

固着型の巣と、餌捕獲用の網を造る。

携巣型のグループ

ミノムシのように、筒型の巣を造って歩き回る。

ヒゲナガカワトビケラ

ヒゲナガカワトビケラ

平瀬の礫底に生息する。捕獲網にかかる流下珪藻 や植物片、生物の死がいなど流下する有機物を 摂食する。(”ざざ虫の佃煮”で知られる。)

 

ウルマーシマトビケラ

ウルマーシマトビケラ

流れの速い瀬に生息して、主にデトリタスを摂食するが、広食性で、付着藻類や動物質なども摂食する。

 

マルバネトビケラ

マルバネトビケラ

植物の破片や砂粒などを集めて、粗雑なミノムシのような巣を作る。一時的な水たまりや流れの緩やかな場所などの落ち葉堆積部に普通に見られる 幼虫は植食性で、落ち葉などを餌にしている。

 

カクツツトビケラ

カクツツトビケラ

落ち葉や砂粒で巣を作る。 落葉が溜まる流れの緩い場所に多く生息する。 幼虫は水生で、落ち葉や藻類を食べる。

これら以外に、幼虫は巣を作らず、繭の時のみ巣を作る、自由生活型のグループがある。

→ナガレトビケラの仲間。

 

 

≪底生生物の食物と食べ方による分類≫

①グレイザー(刈り取り食者)

  石などに生える付着藻類をこそげとって食べる。

②シュレッダー(破砕食者)

  河畔の森林から川に入る落葉枝を噛み砕いて食べる。

③コレクター(収集食者)

  細かい有機物を集めて食べる。

④プレデター(捕食者)

  小動物を捕えて食べる。

 


古典の中の蛙

 

 

カエルと言えばまず頭に浮かぶのが芭蕉のこの句

 

「古池や蛙飛びこむ水の音」

苔むした庭の片隅にある古びた池、突然静けさを破りカエルが飛び込む音がする。振り向くとそこには一筋の波紋、やがてそれもおさまると、またもとの静寂の世界に戻って行く

といったところが一般的解釈でしょうか、「わび・さび」を表現した芭蕉を代表する句としてよく知られているとおりです。

 

カエルが水に飛び込むとき、「ポチャンなどと音はたてないよ」とか、当時芭蕉が住んでいた『芭蕉庵』は、弟子の杉山杉風の持ち物で、「杉風は魚問屋をしていたので古池などはなく、あったのは“いけす”だったはず。」、などという、詮索は、この際止めにしておきましょう。

ここで注目しておきたいのは、芭蕉が生きていた当時、カエルは、古く和歌の時代から『鳴き声』としてしか捉えられていなかったということです。

 

紀貫之は、「古今和歌集」の序文で、

「花になくうぐひす、みずにすむかはづのこゑをきけば、いきとしいけるもの、いづれかうたをよまざりける。」

梅の花に鳴くウグイスや、川に棲むカエルの鳴き声を聞けば、世の中だれだって和歌の一つを読まないではいられない

と言っています。

 

参考:和歌の世界の蛙

 

 色も香もなつかしきかな蛙なく井出のわたりの山吹の花(小野小町)

 

 音にきく井堤の山吹みつれども蛙の聲はかわらざりけり (紀 貫之 )

 

 かはづ鳴く神奈備川(かむなび川)に影見えて今か咲くらむ山吹の花(厚見王 万葉集

 

そのような古くからの固定観念を打ち破り、「わび・さび」という独自の境地を開いたことで、芭蕉のこの句は当時の俳諧に新風を吹き込みました。

 

【問題】

ところで、古典で言うところの「かはづ」とは、一体どんな種類の”カエル”だったのでしょうか。

次の6つのカエルから選びなさい。

・ニホンヒキガエル

・ニホンアマガエル

・ニホンアカガエル

・トノサマガエル

・カジカガエル

・モリアオガエル

 

こたえは、こちらから

 

 

 

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