2.育林技術
枝打ち
〔資料は(社)かながわ森林づくり公社、現(公財)かながわトラストみどり財団による〕
【枝打ちとは】
枝打ちとは、節の無い良質材の生産を主目的として、ある高さまでの生き枝を、その付け根付近から除去する作業です。
枝打ちは、樹冠(枝葉部分)量を調整することによって幹の成長を制御することができ、間伐は生育空間を調整することによってやはり幹の成長を 制御できます。したがって、枝打ちは間伐と組み合わせることによってより大きな効果を発揮することができます。
枝打ちは間伐とともに林内の光環境を改善し、下層植生の欠乏を防ぐなど森林の健全性にプラスになります。さらに枝打ちはスギノアカネトラカミキリやスギザイノタマバエなどによる幹の被害を防ぐ効果もあります。
【枝打ちを行う時期】
枝打ちの適期は、早春の新芽の吹き出す前頃までと、紅葉の始まる頃から雪の降る頃までです。 新緑の頃から梅雨明けの時期までは、形成層の細胞分裂が最も盛んで、新たな組織が未熟であり、 樹液の流動が盛んなため、幹に傷がつきやすい時期なので、この時は避けます。冬季の生育休止期は最も傷がつきにくい時期ですが、厳寒期は枝の材質が堅く、低温のため手の動作が鈍くなりがちなために、ノコ歯の器具以外の使用は、避けた方がよいでしょう。
【枝打ちの実際】
節の無い10.5cm角の材をつくる場合には、枝下の幹の直径が6~7cmになるまでに、12cm角の材の場合には、枝下の幹の直径が8~9cmになるまでに枝打ちをすませておく必要があります。枝打ちは、幹の長さで1.5~2mの長さの範囲で、所定の高さに達するまで、何回かに分けて枝打ちを繰り返し行います。
【枝打ち方法】
枝打ち作業にあたっては、幹に傷をつけないように注意します。幹に傷がつくとそこから内側に変色が生じて、材の価値を下げてしまいます。
枝を切る位置は、下図のaの所です。bの所を切ると幹に傷がついて変色が生じますので注意しましょう。また、枝が太い場合は、先に枝の下側に切り込みを付け、次に上側から切り落とします。枝の先に葉が茂って重い場合は、皮が裂ける危険があるためまず幹から離れたところで切り落とし、改めてaの所で切るか、枝を支えて枝打ちをしてください。
枝の切断位置
a:変色を避け、かつ残枝長を小さくするのに適
b:変色は発生しても残枝長を極力小さくするのに適
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