3.救命・応急手当
応急手当
日本赤十字社ホームページ「救急法の講習」より
1.多量の出血-止血法-
人間の全血液量は、体重1kg当たり約80mlで、一時にその1/3以上失うと生命に危険があります。きずからの大出血は直ちに止血をしなければなりません。
直接圧迫止血
出血しているきず口をガーゼやハンカチなどで直接強く押さえて、しばらく圧迫します。この方法が最も基本的で確実な方法です。包帯を少しきつめに巻くことによっても、同様に圧迫して止血することができます。
まず直接圧迫止血を行い、さらに医師の診療を受けるようにします。
※感染防止のために、ビニール袋やビニール手袋などを使用することが推奨されています。
間接圧迫止血
きず口より心臓に近い動脈(止血点)を手や指で圧迫して血液の流れを止めて止血する方法です。
止血は、直接圧迫止血が基本であり、間接圧迫止血は、ガーゼやハンカチなどを準備するまでの間など、直接圧迫止血をすぐに行えないときに応急に行うものです。
直接圧迫止血を始めたら、間接圧迫止血は中止します。
2.熱中症
高温や高湿の環境下で起こる全身の熱障害を熱中症といい、症状により熱痙攣、熱疲労、体温調節機能障害を伴う熱射病に分けられます。
<手当>
-
風通しが良い日陰や冷房の効いた所に運び、衣類をゆるめて楽にします。
-
本人が楽な体位にしますが、顔面が蒼白で脈が弱いときには、足を高くした体位にします。
-
意識があり、吐き気や嘔吐などがなければ、水分補給をさせます。スポーツ飲料(塩分が含まれている)か、薄い食塩水などを飲ませます。
-
皮膚の温度が高いときには、水で全身の皮膚をぬらし、あおいで風を送り体温を下げます。
-
皮膚が冷たかったり、震えがあるときには、乾いたタオルなどで皮膚をマッサージします。
-
このような手当をしても、熱痙攣や熱疲労の症状がおさまらないときは、できるだけ早く医師の診療を受けさせます。
-
熱射病の症状があるときは、急いで医療機関に搬送します。
-
意識がないときは、一次救命処置の手順により手当を行います。
3.動物にかまれた・ 蜂に刺された
咬創(動物にかまれたきず)の一般的手当
動物の歯は不潔なので特殊な病気ばかりでなく、一般の感染にも注意する必要があります。
-
どんなに小さなきずでも、石けんを使って水でよく洗います。きずの回りも唾液がついているところはよく洗い流します。
-
清潔なガーゼを当てて包帯をします。
-
動物などによる咬創は化膿しやすく、動物が病気に感染していることもあるので、必ず医師の診療を受けるようにします。
●ヘビにかまれたきず
普段から、無毒と有毒ヘビの見分け方を知っておくとよいのですが、とっさの場合、区別がつかないことが多いです。日本での毒ヘビは、マムシ(北海道から九州)、ハブ(沖縄、奄美諸島)、ヤマカガシ(本州、四国、九州など)です。 マムシやハブは、かまれると10分前後できず口が腫れてきます。痛みが起こり、適切な応急手当をしないと全身状態が悪くなり死亡する危険があります。 ヤマカガシにかまれたときは、数時間くらい後できず口から出血し、歯茎や皮下、内臓、粘膜からも出血するのが特徴です。毒液が直接目に入ると失明することがあります。
<手当>
-
安静にします。手足を曲げ伸ばしたり走ったりしないようにします。
-
ヤマカガシなどの毒液が目に入ったときには、すぐに水でよく洗い流します。
-
ヘビの毒素により脱水症状を起こしやすいので、水分を与えます。
-
急いで医療機関に搬送します。(毒ヘビの場合、血清の投与など適切な治療をしないと、死亡する危険があります。)
-
かまれたきず口に口をつけて吸い出すことは、推奨されません。
●ハチ(スズメバチ、アシナガバチ)に刺された
ハチに刺されると痛みと腫れが起こり、ハチ毒に過敏な人は、一匹に刺されてもショック状態になったり、呼吸停止を起こし死亡することがあります。
<手当>
-
針が残っているものは、根元から毛抜きで抜くか、横に払って落とす(針をつまむと、針の中の毒をさらに注入することがあります)。
-
冷湿布をして医師の診療を受けるようにします。