1.森林の話

 

日本の林業

 

●健全な林業の姿

 「植える→育てる→使う→植える」というサイクルが機能して森林整備(林業)を継続できます。

森林のサイクル

林野庁:森林・林業白書より

 

●日本の林業の現状

 日本の林業は、輸入材の増加に伴う採算性の悪化等により、生産活動が停滞してきたとともに、小規模な森林所有者が多数を占める構造となっています。また、木材の生産及び流通も小規模、分散的で多段階を経る構造となっています。これらのことなどから、国産材については、需要に応じた安定的、効率的な供給体制が構築できていない状況にあり、自給率は2000年の前半には18%台まで低下しました。(下のグラフ「木材自給率の推移」)

 この結果、日本の森林は充分な手入れがなされず、荒廃が目立つようになりました。荒廃した森林は、公益的な機能を発揮できず、台風等の被害を受けたり、大雨等によって、土砂災害を起こしやすくなります。さらに、二酸化炭素を吸収する働きも低下し、温暖化防止機能も低下します。

暗い森

手入れが遅れた暗い森

明るい森

手入れが行き届いた明るい森

 

自給率の推移

 

 

●林業の持続的かつ健全な発展のために必要なこと

 林業の持続的かつ健全な発展のためには、「植える→育てる→使う→植える」というサイクルを回す必要があります。このサイクルを円滑に回すためには、国産材を積極的に利用し、需要を高め、資金を山に還元する必要があります。

近年、国産材の利用の意識が高まり、自給率は2014年には31.2%まで回復してきました。

【国産木材利用の推進例】

  1. 木質バイオマスのエネルギー利用
     2012年に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が開始されたことにより、木質バイオマス発電施設の稼働が本格化しています。こうした動きは今後とも続くと予想されます。

  2. 公共建築物への木材利用の推進
     2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、国や地方公共団体で木材利用方針の策定が進められるようになりました。これによって、木材を使った公共建築物などが今後増えていくものと期待されます。

  3. 新国立競技場
     2015年に「新国立競技場の整備計画」が決定されました。その際、特に配慮するべき事項として「木材の活用を図る」ことが盛り込まれました。木材利用の象徴としての役割が期待されます。

    「新国立競技場」の木材利用(外部リンク)