1.森林の話
水はどこから~神奈川の水~
神奈川の水の道をたどって「ふるさと」を訪ねてみると、丹沢山系や、さらには遠く、山梨県の富士山の麓に着きます。
山々(その多くは森林地帯)に降った雨水の多くは、やがて川の流れとなり、神奈川県の県央部を流れる相模川と、県西部を流れる酒匂川へと至ります。
相模川の上流には、宮ヶ瀬湖をはじめとした3つのダム湖があり、酒匂川上流には同様に丹沢湖があり、「かながわの水がめ」として重要な水源となっています。
そして、ダムから計画的に流された水は下流で取水され、水道水になるために浄水場へと送られます。
神奈川県では、水源地域の森林の保全再生を目的に、平成9 年度より、県北西部の森林を「水源の森林エリア」に指定し、エリア内の私有林に対し公的管理・支援を行い、県民参加の下に公益的機能の高い森林づくりをめざしています。
ところで各水系(相模川水系、酒匂川水系)に降った水(雨・雪)のうち、どれほどが水道水として利用されているのでしょうか。色々な資料をもとに試算してみました。
(1)各水系の降水量
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酒匂川水系 |
相模川水系 |
合計 |
資料 |
a)流域面積(平方キロメートル) |
582 |
1,680 |
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b)降水量(mm/年) |
2,457 |
1,838 |
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c)降水の体積(億立方メートル/年) (a×b) |
14.30 |
30.87 |
45.17 |
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(2)降水の内、川に流れ込む量
地上に降った降水のうち、日本では平均約40%が、地面からの蒸発と植物の葉面からの蒸散で大気中に放出されており、川に流れ込むのはこれを除いた分となります。 3)
川に流れ込む水の量⇒ 45.17×(1-0.4)=27.1億立方メートル
(3)水道給水量
神奈川県の水道用水の供給は、横浜市、川崎市、横須賀市、神奈川県(左の3市以外の多くの市町村)、およびこれらに水を供給する神奈川県内広域水道企業団、その他市町村で行っています。
これら全部を合計した水道供給量は、11.07億立方メートル(H24年度)です。 4)
(4)降水のうち、どれほどが水道水として利用されているか
-
流域に降った雨の約1/4(25%)が水道水として供給されている。
<計算式> 11.07(水道供給量)÷45.17(降水の体積)⇒0.245 -
流れる川の水の約4割が水道水として使用されている。
<計算式> 11.07(水道供給量)÷27.1(川に流れ込む水の体積)⇒0.41
概略の計算ですが、流れる川の水うち約4割が水道水として使用されています。川の水は絶え間なく流れ、最後は海にそそぐというイメージからすると、かなり多いように思います。さらに水道水とは別に農業用水としても利用されています。
これを見ても、人間活動は自然の水循環に対して多大の影響を及ぼしています。今後、人を含む生態系が水の恵みを持続的に享受できるように、水資源を適切に利用し、かつ水源地域の保全を進めていくことが重要です。
(参考資料)
3.1)蒸発散量: 609mm/年 図1-3-1日本の水資源賦存量と使用量(2009年ベース)
3.2)降水量 :1514.3mm/年 参考1-2-3の2009年全国平均
これより蒸発散率は⇒609/1514.3=0.40(40%)
4)神奈川県保健福祉局「平成24年度 神奈川県の水道;12ページ」より
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