8.小中学校の総合学習
木の年輪を数えよう
[「森へ行こう 親しむ・知る・育てる かながわの森」(社)かながわ森林づくり公社]より
ねらい
木の年輪を数えることを通して、樹木の生長に関心を持 つとともに、樹木によって成長の仕方に違いがあることに気付くことができる。
使うもの
□筆記用具 □巻き尺 □ものさし(30cm)
事前準備
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樹木は四季によって生長の仕方が異なるので、年輪が形成されることを知らせる。
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安全には十分注意するように指示する。
進め方
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2〜3人のグループを決める。
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年輪の数え方を教える。
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各グループで自分達が数えたい年輪の切り株を決め、数える。
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各グループの結果を発表する。
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植林地なら同じ時期に植林されていることから、樹木によってほぼ同じような生長をする反面、植え方や植えた場所、管理によって生長に固体差があることに気付かせる。
注意点・指導のポイント
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広葉樹より針葉樹のほうが年輪がはっきりしているので、初心者には、針葉樹の切り株を使う。
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交代して、全員が年輪を数えられるようにする。
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年輪の幅や偏りにも注意して観察する。
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「年輪の偏っているほうが、北」という説は、成り立たないことを付け加える。
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植樹された樹木では、生長と幹の太さに一定の相関関係がほぼ成り立つことを知らせる。
発展
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クレヨンや色鉛筆で年輪のこすりだしをすると、記録として活用できる。
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慣れてきたら、広葉樹の年輪を数えることにも挑戦させる。
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長い丸太の年輪を両端で数えると、樹木の生長が分かる。
補足
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年輪とは、通常温帯から寒帯の木の断面に生じる同心円状の模様で、輪状に見えるのは、春には成長が盛んで直径が大きく細胞壁が薄い細胞をつくるため白っぽい材になるが、成長が衰える夏から初秋にはかけては直径が小さく細胞壁が厚い細胞をつくるため黒っぽい材になるためである。
なお、晩秋から冬は成長しないので年輪はできない。 -
「材」は内側の「心材」(しんざい)と外側の「辺材」(へんざい)に分けられる。心材は「赤身」(あかみ)、辺材は「白太」(しらた)とも呼ばれる。
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辺材には根から吸い上げた水分を樹木全体に送る仮道管(針葉樹)または道管(広葉樹)、またでんぷんなど同化物質を貯蔵・分配するために原形質を保持した柔細胞があり、木の生命活動を担う。
そして、辺材は水の通り道となるために含水率が心材と比べて高く、また栄養素を含むことから腐りやすく害虫にも弱い。 -
心材は木の構造を支え、フェノール類などの抽出成分を含んで腐食や害虫の侵入を阻止する役目を持つ。